6.木材着色塗装における複合色の数値化研究
葉地着色CCM
の検討一
大野善隆*** 玉造公男***
する目標色試料を作成した。各試料のステイン 濃度設完を表1∼2に、また、塗装工程を表3 にそれぞれ示した。
2.3 CCMシステム及び測色方法
今回使用したCCMシステムは、測色機器 (分光光度計)と計算機とCCMプログラム (繊椎。染織用)とで構成し、試料の測色は、 木目を避け比較的均一一な部分を選んで行った
(測定径8mm¢)。
・分光光度計(ミノルタ製 CMト【1000)
・計算機(NEC梨 PC山9801UX) ・CCMプログラム(京都市染織試験場開発ソ
フト)
2.4 目標色試料のCCM計算及び試験着色結果 の検討方法
CCM試験の手順を図1に示した。 基礎データ用試料を測色し、CCM計算に必 要な基礎データを人力した後、目標色試料を測 色してCCM計算を実施した。ここで得られた CCM計算濃度と既知の目標色実績濃度との関 係を比較検討(数値判定)した。次にCCM言1膚 算濃度による試験着色試料を作成し目標色試料 との比較検討(色差判定及び目視による比較判 定)を行った。目視判定として、合格のものは ○、近似合格のものは△、不合格のものは×と
した。
また、重回帰による修:1E計算の可能性を検討 するため、得られたデータを対数(I J Og2)変換
して線形モデルとして取り扱い、繊維・染色の 1.はじめに
地球的規模で環境保護が求められている今 日、森林保全の立場から良質な木材の入手が危 ぐされている。本県の家具産業にとって主たる 原材料である木材の入手難は、産業の継続を左 右するものである。この状況下においては、今 まで活用されていなかった未利用材、低質材を 優良材と同様に活用することが必要であり、そ のためには表面処理を主体とした塗装技術の開 発が不可欠である。特に着色(調色)技術の改 善および向上が緊急の課題である。
本年度は、この調色技術の改善および向上を 目指した基礎研究として、素地着色におけるC CM(Comput er Col or Mat c hi ng)試験を実 施し、木材の特性と着色剤との関係を把握する
とともに、調色精度の向上と木材塗装における 製品の高付加価値化について検討した。
2.方 法 2.1供試材料
①木材∬天然木突き板張り合板(樹種:こレ、 ナラ、サクラ、ニヤトー)4種類
②着色剤一素地着色用染料系アルコール性ステ イン(3色‥Y(イエロー)、R(レッド)、B
(ブラック))
③塗料【ポリウレタン系サンディングシーラー 及び5部艶消しクリヤー
2.2 試料の作成
CCM
計算のデータベースに使用する基礎
データ用試料と、CC九′ Ⅰ計算の調色目標に佗用 CCMで・般に用いられている次のモデル式を
***塗装技術研究室
用いて童回帰分析を行った。
「実績濃度」=a(十a.「計算濃度」+a2「計算 濃度」2十(誤差)
表1 基礎データ用試料のステイン濃度(W%)
着色剤
濃度階段 6 2 3 4 5 u ∈6喜7 各原色
0 1.0 2.5 5・0 10 u 臣20∃40
表2 目標色試料のステイン濃度(W%)4.0 0.5 0.5
2 8.0 1.0 1.0
3 3.0 1.5 0.5
4 6.0 3。0 1.0
5 3.0 1.0 1.0
6 6.0 2.0 2.0
7 3.0 0.5 1.5
8 6.0 1.0 3.0
9 2.0 2,0 1.0
10 4.0 4.0 2.0 2.0 1.5 1,5 12 4.0 3.0 3.0 13 2.0 1.0 2.0 14 4.0 2.0 4.0 15 1.0 3.0 1.0 16 2.0 6.0 乙0
17 1.0 2.0 2.0 18 2.0 4.0 4.0 19 0.5 3.0 1.5 20 1.0 6.0 3.0
図1 CCM試験のフローチャート
3.結果及び考察
3.1CCM計算濃度と目標色実績濃度との比較 CC九′ Ⅰ計算濃度と目標色実績濃度との関係を 3色(Y、R、B)に分けて図2∼13に示した。
Yは、ナラ材、サクラ材、こレ材の順で実績
濃度より計算濃度が過少に算出された。逆にR は、赤色系材であるニヤトー材において実績濃 度より計算濃度が過多に算出された。また、Bはどの木材においても実績濃度と計算濃度とが 近似した安定な結果が得られた。この結果から 個々の着色剤には色剤によって着色性に遠いが 有る日ニ、材種に基因する木材自身の色の影響 が大きいと考えられる。
3,2 CCM試験着色試料と目標色試料との比較 CCM計算濃度による試験着色試料と目標色 表3 試料の塗装工程
工 程 内 容 ステインをスプレー塗布
素地着色 (口径1.Omm空気圧1.Ok9/c汀ぎ噴 出量100c.c./mi n塗着量40g/㌦) 乾 燥 室内放置24時間
サンディングシーラーをスプレ
下塗 り 一途布(空気圧2.Ok9/cnf 他は 素地着色と同じ)
乾 燥 室内放置24時間 村L磨 研磨紙(♯400)で空研ぎ
5部艶消しクリヤーをスプレー 上塗り 塗布(素地着色と同じ)
試料との比較結果(色差判定及び目視による比較 判定)の一例としてニレ材の結果を表14に示した。
色差∠虹判定では、目標色20色中、2色が異 常値(∠指=10以上)を示し、目視判定では3色 が不合格であった。∠dE=3∼4を境界に合否 が分かれたものが多かったが、中には。dEが22 や18という異常値を示したにもかかわらず目視 判定では合格と判定された試料もあり、色差判 定と目視判定の結果は必ずしも▲ 致しなかっ た。この結果から色の領域ごとに目視判定の合 否境界が異なり、色差も異なるものと考えられ る。
3.3 CCM計算濃度の垂回帰分析(重回帰式の
あてはまり具合いの検定)
CCM計算濃度の重回帰分散分析結果を表4 ∼15に示した。
残差平方和(回帰からの残差変動)は、着色 剤間ではY、R、Bの順に小さく、木材柱間で は着色剤間より小さく、ニレ、ナラ、サクラ、 こヤトーの順に大きかった。F比(童回帰式の あてはまり具合いの検定比)についても類似の 傾向が認められ、着色剤間ではY、R、Bの順
に大きく、また木材種間ではニレ、ナラ、サク ラ、ニヤトーの順に小さかった(最大175∼最 小12)。また寄与率(重回帰式のあてはまり精 度)についても類似の傾向が認められた(最大 0.95一最小0.65)。この結果から着色剤のCC M精度は、Y、Rが低く、Bが高いこと、また 淡色木材に比較して濃色木材において低いこと が明らかとなった。なお、想定したモデル式へ のあてはまりがよい場合は、a.、、aユ、a2の各 係数を用いて計算濃度から予測濃度を求めるこ
とも可能であるが、繊維t 染色の例に比較して あてはまりが良くなかったので、予測計算(修 正計算)はしなかった。
w“18
以上の試験結果全体から、素地着色によるC CMの一次調色としては、高精度の結果が得ら れたと考察される。しかし、CCM言1▲ 算の基に なる基礎データ用試料や目標色試料における測 色データのバラツキが、CC九′ Ⅰ計算に誤差をも たらし、マッチング精度を低下させている最大 原因と考えられるので、今後は、木材固有の木 目や木材色の影響を取り除いて測色する方法を 検討することが必要である。
4.まとめ
CCMを用いた素地着色について、次の結果 を得た。
①着色剤の着色性は色剤により異なり、Bは実 績濃度と計算濃度とが近似したが、YやRにつ いては、差異が認められた。また、濃色木材に おいては、実績濃度と計算濃度との差異が大き いことから、素材それ自体の色が大きく影響し ているものと考えられる。
②色差判定と目視判定との結果は、必ずしも〔一 致していないことから、色領域(ゾーン)ごと
に調色許容範囲が異なることが予想される。 ③素地着色CCMの−一次調色としては、調色精 度の高い結果が得られ、ワイビング着色や塗膜 着色等への応用化が期待できる。
今回の素地着色CCMの結果から、▲ 般に繊 維・染色で利用されているCCⅣ√Ⅰシステムは、 測色方法の改善、基礎データの修正や実績デー
タの補正など今後解決して行かなければならな い課題は残るものの、木材着色塗装のCC∼Ⅰと
5.参考文献
1)徳島県工業試験場報告CCMを使った合成 メリヤス染色条件のデータベース化 (1991)
2)加工技術:染色二i 二場とコンピューター利用 26,7,12,(1991)
)r (ユ1 nニ2り 川1
実績濃度
0
盲†繋濃度
】叉Ⅰ2:料熱線度と計笠濃度の閲係(ニレ・1‘)
1り Ⅹ く2ノ
()
計算濃度
阿5 ノ轟売渡度と計算濃度の程∃條(ナラ・Yノ
10 ):r 2J
、、
封安濃度
周H 実績濃度と計算濃度の憐憫トニレ・RJ
まU x し2J
〔)
計革濃度
1父【6 ′実務濃度と「ぅ卜策†食塩の閲怖 けラ・R
漁済
(J
っ†鋒濃度
Lズ】7 ず三績i ぷ呈俊二.1卜軋■ 釦変耶悩‖ 裏 トラ・H
川 X(2
計算濃密
「糾 矢掛齢㍑欄㈲掛如硝雁(レ・巧
y(1)I l =20 y t l ) n=2()
0
計算濃度
蛙111実績濃度と計算濃尾の閥係 〈ニヤトー・Y)
10 x(Z) 1り X〔2ノ
8 実続演度と言i 紫波度の関係(サクラ・Y) (1J n=20
囲
y
l
O
2
0
㌣
Ⅴ▼
川
実績濃度 粟横濃度
ユ0 Ⅹ(2) り
計算濃度
閲12 瑛・端濃度と計紫濃度の関係1ニヤトm・R〕
区】9 実績濃度と計算濃度の関係 けタラ・R) ン′(】 n=20
(ユJ r i こ20
)
「.日射農度
甘柏 ′ノミ続演度と計箆濃度の関係」サイラ・Bl
川 Ⅹ2ノ り
計賓濃度
射3 ′≠言祷濃度と【三憎掛如澗條ニヤト・Ⅰ5
1り Ⅹ(2)
表4 分散分析表ニレ・Y
衣川 分散分析表サクラ・Y
要 因 平方和 白由度 分 散 F 比
同 帰 17.5976 2 8.7988 47.68
残 差 3.13724 17 .184544
計 20.7348 19
係数a(、トニ.704682 a三=.60416 a㌢=.n838737 寄与率=().849
要 因 平方和 自由度 分 散 f l ’
比
回 帰 9.39216 2 4.6960812.55**
4.′ 19158 12 .374298 13.8837 14
1.63095 aj =.409299 aご=一・.017488 ニ0.676
表5 分散分析表ニレ・R
表11分散分析表サクラ・R
要 因 ヰ方和 白由度 分 散 F 比
i f 二1J 帰 17.6353 2 8.81766 49.89**
残 差 3.00492 17 .17676
計 20.6402 19
係数al )=.302313al =1.53889aリ=−∴245923
寄与率ニ0.854要因平方和白由度分散F比
25・52** ユ
計 15.722116
係数a(−=.159642ai =.658327a2=.0642716
寄与率=0.785表6 分散分析表ニレ・B
表12 分散分析表サクラB
「【… 】‘ レし
*
安 田 ヰ方和 白出度 分 散 F 比
垣l 帰 13.7639 2 6.88196175.00**
残 業 .668529 17 .039325
計 14.4324 19
係数a=∴274819al =1.53481a2=二¶ 】.210188
寄与率=0.954
要 囚 平方和 自由度 回 帰 12.6337 2 残 差 1.56111 ユ4
上
﹁ J 6 F 5 6 4 8
散
6 8 5 0 ﹁ 1 1 1
つ
J l l ・ 6 .
計 ユ4,1948 :16
係数aり==.6ノ13239al =.650742aご=.0 寄与*= 0.890
6
6
表7 分散分析表ナラ・Y
表13分散分析表ニヤトー・Y要l 大1 平方和 白山夜 分 散 ド 比 回 帰 5.8(〕9 2 2.90ノ1512.25** 残 芹 3.08188 13 .237068
計 8.89()88 15
係数a==1.64934al =.44835∠1aヨ=.0206803
寄与率= 0.653
平ノJ ‘ 和 白由夜 分 散 F 比 16.1885 2 8.09426 17.39** 7.91391 17 .465524
計 24.1024 19
係数aり=1.41795 al =2.60438 a二そ=¶ .421679 寄与率=0.672
表8 分散分析表ナラ・R
衣14 分散分析表ニヤトー・R
散i l r 上
「 安 国 平方和 白由度 分 散 F 比
回 帰 17.5654 2 8,7827177.33** 残 差 1.817]5 16 .113572
計 19.3826 18
太‡
平方和 自由度 分
帰 17.3084 2 8.65(1ユ9 牲16=巨不 差 3.33187 17 .195992 計 2∩.糾し)2 19
係数a=.630384al =.692299 aL∼= L87け7
係数a∠=−5.530姐al ニ3∴う1088 a、三= 寄′ ゴ▲ 率=0.83951 戸 ∵弓冒qR拍脱田E
」
寄う▲宰=
0.906
夫9 分散分析表ナラ・H
表15 分散分析表ニヤトー・B
肌
安 田 平方和 白拝=変 分 散 F
要 一大!、仁甘利 白山度 分 散 F 比
回+帰 12.3899 2 6.1〔〕4Ⅸう 5ユ.56*;k計
=√.
急ご三… 憲≡慧aさ軍1.。。ニ)… ≡(〕三5
回 隼 ユ2・722ニう 2 (う・36117121・り6…
残 差 .84()7(〕2 i (う .0525ノ1ニミ9 13.563 18
係数a−=.3124二う8al =∴)2(け3aご= ()79(〕り9
衷14 CCM計算の結果(ニレ材)
ステイン≧ 3原色 ステン 比較 」→ ∠頼
No
() (%)
判定
(%) (%)2
Y
イ濃度⊆ (実績濃度) CCⅨ′ 一計算 (計算濃度) 既知処方との ∠づⅠ. ∠jb
4.O 4.02 0.5 0.97R 0,5
0.64 i 28.0 乙14
2.37 ⊂)B B 0.5 0.80 60.0
1r 8.0 7.38 ーー7.8 0.54
2 ユ.0 0.85 15.0 冊1.28 2.(〕7
B 1.0 1.28 28,0 § 1.53
Y ∃ 3.0
3,し)9 3.0
一一一0.30
1.5 1.44 仙4.0 22.51
B 0.5 仇65 30.0 【19.98 ≒
Y 6.0 4.47 ¶ 25.5 ],99
4 R 3.0 乙48 17.3 3.39 4.01 ∠ゝ
B 1.0 1.16 1、6.0 −0.81
Y 3.0 2.77 7.7 0.53
5 R 1.0 0.94 −6.0 】冊1.26 18.61 ⊂)
B 1.0 1.13 13.0 18.56
Y 6.0 4.O 【31,7 −1.52
6 R 2.0 弓 1.41 −29.5 1.93 4.03 △
B 乙0 1.93 3.5 【3.20
Y 3.0 3.16 5.4 3.39
7 R 0.5 0.56 12.0 3.68 ○
B 1.5 1.72 14.7 1.20
Y 6.() 4.19 30.2 0.38
8 R 1.0 0.74 ¶ 26.0 3.32 3.81
3.0 2.60 13.3 −1.84
Y 2.0 1.57 弓 【21.5 1.42
9 R 2.0 1.59 −20.5 3.56 ×
B 1.0 1.26 26.0 1,78
Y 4.0 3.10 22.5 【 4.24
10 R 4.0 2.82 【29.5 5.57 ×
B 乙0 1.92 4.0 3.47
Y 2.0 1.82 肝9.0 1.54
R ≡ 1.5 】 ].22 18.6 0.20 2.87 ∠ゝ
要 B 1.5 1.54 2.7 2.41
Y 4.0 2.22 44.5 −1.74
12 R 3.0 1.65 喜 【45.0 1.78
B 3.0 2.27 24.3
Y 2.0 臣 1.39 −30.5
13 1.0 】 0.82 18.0 ≧ 0.54
−0.38 0.06 0.ユ2
(⊃ 2.59
B 2.0 2.24 12.0 2.53
Y 4.0 2.83 −29.2 2.09
R 2.n 1.55 毒 22.5 肝1.40 3.21 ○
B 4.0 ′ t .37 9.3 2.00 担
Y 0.87 13.0 ≧ m2.′ 44 ∃
R 3,0 2.48 17.3 0.(〕2
1.0 岳 ○ 向 1.0 0.96 Ⅷ4.0 0.49 「 ̄ ロ B 2.0 6.0 2,∩ 0.61 6().5 肌乙30 3.7′4 △ 生9ユ+ 18.2 2.69 1.21 1.96 2.(〕 巨若 1㌻ R
仙2.59】△
㌢
○
堅㍍… 皿W−〟椚 \十
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1二1.2 1γ R